早い、公演終わってから1週間。
無事終わって、心底ホッとしています。
今回の出来事を書いておきたいと思います。
きっと、こんな経験はこれから先ない(と思いたい)と思うので。
ここからは、本当に個人的な内容ですので、読んで、不快な思いをする方もいるかもしれませんが、単なる個人記録ですので、流していただけると嬉しいです。長いです。
12月の公演1週間前のある日のこと。
通し稽古の終盤、衣装のマントを踏んで転倒。
(長いから切らないと、と言いながらそのままになってた)
とっさに左胸ポケットに仕込んでいた小道具(割れ物)を落とすまい、という意識が働いたように思う。
右手の代わりに左手とデコの右側をついた。
もし小道具の心配がなくて、右手をついていたら、右手をやってたのか(今より最悪の状況)、もしくはもっと器用にこけれて、大事に至らなかったか、今となってはわからない。
「大丈夫ですか?」と演出さんの声が聞こえたが、通しが始まったら、とにかく何がなんでも最後までやる、という昔ながらの意識が働いて、無意識的にそのまま立ち上がり、セリフを続けていた。
その段階で、左手は全く動かないし、明らかに「マズイコトガオコッテル」という信号を発信している感じ。
その後、後ろで立って、飼い主と猫の別れを見守っていたが、次第に視界がホワイトアウトし始めた。
あーやばいなー真ん中までセリフを言いにいけるのか、私は…
…ほとんど影しか見えない相手に向かって歩いていき、なんとかセリフを言い切って、後ろに下がった。
本来なら台に上がるところを、このまま上がったら‘気を失った時にヤバイなあという冷静な判断で、段に座る演技に切り替えた。依然として左腕は他人のものでダラリ。
座ったお陰で少し落ち着いて、最後までやれた。
私としては稽古を途中で抜けたくはなかったが…とにかく病院へ、ということに
M病院の夜間診療へ。
レントゲンの結果、左手首を骨折しているとのこと
専門医がいないため治療ができないこと
手術が必要であること、などなど
そのままの状態で固定したのみ
なんにせよ、本番までになんとかせねば…
次の日、家の近くの総合病院へ
2時間近く待ったあげく、「予約いっぱいで受診の予約が来週月曜になります」
(は?)このままの状態で1週間放置せよと?
そんならすぐに言ってくれたら他の病院を当たれたのに
12時になっていて、「昼までの診療で午後からは先生がいない」「明日来てください」とかばかり
M病院は明日病院に行ってくださいね、と言って痛み止めを2回分しかくれなかったし
やっと午後から診てくれるところが見つかって…もう神!!✨
おじいちゃん先生は「昨日寝られんかったやろ」とメンタル面のことを第一に声かけしてくれて(泣きそう!)「手術はいらんと思うが」って言ってくれた😭
「ちょっと痛いよー」バキッ。
めちゃくちゃ痛かったが、一発で元の形に戻してくれた。(手首、明らかに変な形してた)
予約もなしで待ち時間10分くらい、だけど、あの先生、とんでもない名医なんじゃないだろうか…(だいたい整形外科って3時間くらい待たされるイメージ)
デコの右側にはタンコブ、左膝にはでっかい青アザができてたが、そっちの方が軽症だったらしい。
さて、そこから。
今回、自分の衣装を引き受けていて…ついつい後回しにしてしまう悪い癖が災いを生んだわけで。衣装のさばきも何とかなる、っていう過信の恐ろしさよ。
逆に、自分の衣装以外で私が担当していたものがはほぼ終わっていたのは不幸中の幸い。
ミシンが使えない、手縫いしようにも針に糸が通せない。
人に頼むしかない。これは困った。自分でやると思っていたから、計画が全くなかった。
シンプルで、お願いしやすいデザイン…時間がない。
過去の衣装で使えるものがないか記憶の中を検索し…
人の手によって、なんとか本番にギリギリ間に合った…
ああ、もう…
人に迷惑をかけるのが申しわけないし、自責の念、後悔、あの時こうしていれば、やりたいことがやれなくて悔しい、自己否定感…押し寄せる感情に一時的にフタをして
「不幸中の幸い」を数えることにした
泣くのは公演終わってから
けど
思った以上に左手って使ってるんやなあ
有り難みがわかった
まず、座ったら、立ち上がれない(ビックリ)←右手で床を押す、何かに捕まるなどした
真っ直ぐ歩けない
右手を大きく広げたり、振り返ったらグラってする
バランスとって生活しててんなあ
しかも、マント…
呼吸が浅くなるし…あーあ、最近少し息を使えるようになってきてたのに…
とにかく真ん中を感じて!!軸だ!!地面を感じて歩くのだ!!
本番まで残り5日!!
片手で、どれくらい表現できるだろう…
観てる人が物足りないと感じないような動きを
照明も準備できない
とにかく今回はブレインになる、そう決めて
頭をフル回転
とにかく考える、考える、考える……
いっぱいいっぱい助けてもらって
なんとか、なんとか、乗り切ることができた
本番当日の朝電車で落ちかけたiPadを拾おうとして右手を伸ばしたら、伸びてた人差し指の爪がすごい深爪な位置でメリって割れて…痛くてボタンとめるものツラかった…生き残ってるのは右手の指4本だけか…ってちょっと悲壮な気分になったりもしたけど
それでも、できることを数えた
本番前に怪我するなんて、役者として絶対にあってはいけないミス、
とんでもない迷惑野郎
自分が許せない
そんな‘気持ちを押さえ込んで
そんな自分の感情に溺れている時間は一瞬もなく
本番まで
なんとか…
そんな思いもあってか、千秋楽、ほんとに最後の最後に、あと『ありがとうございました!』と言えば終わるところで、グワっと何かが込み上げてきて、詰まってしまった。
すぐに気を取り直して言い切ったが、あれはもう反省案件。
ちゃんと最後までやれたら自分を褒めてやろうと思っていたのに、残念。
(自業自得だから‘、誰も「よくやった」なんて言ってはくれないだろう、だからせめて、自分だけはって思っていたのに)
次の日、家族が「頑張った!」って言ってくれて、初めて泣いた笑笑
やってしまってから約2週間。経過は順調。
右手でやれることも増えた。
職場でも「右手がどんどん器用になってるー」と驚かれている。
妊婦さんがお腹の子供を守るように大切に守ってきた。
何かあったら、今度こそ本番を迎えられないと思ったから。
満員電車を避け、走ってくる子供をよけ…あと2週間もすればたぶんギブスが外れるはず。
もし、こんなつまらない記録を最後まで読んでくれた人がいたとしたら
きっとその人は、私をなんらかの形でサポートしてくれた人だと思うので…
この場を借りて改めてお礼を言わせてください。